こんにちわ。
その1では、『①地殻から掘り出した物質が自然界に蓄積してはならない』について考えていきました。
今日は、『②自然界において、システム的に人間社会で生産された物質が蓄積してはならない』について考えていきます。
サステナビリティ4つの原則 その2
自然界において、システム的に人間社会で生産された物質が蓄積してはならない
出典)Sustainability Illustrated
その1では、”地殻から掘り出された物質”でした。今回は、”人間社会で生産された物質”。

人間社会で生産された物質で、自然界に残るものは何があるの?
まず、思い当たるものから書いてみます。
<水を介して自然界にいくもの>
- シャワーをしたら:化粧品・日焼け止め・ヘアケア製品・デオドラント・クリーム類
- 常に使う:ハンドソープや石鹸、歯磨き粉などオーラルケア製品
- 掃除に使う:掃除用洗剤・食器洗剤
- 洗濯洗剤・柔軟剤・漂白剤
<土や空気を介して自然界にいくもの>
- 農薬・化学肥料・人工肥料・除草剤
- 殺虫剤・ヘアースプレーなどのガス仕様スプレー
- 塗料やインクから出る揮発性化学物質
- ごみ埋め立て場に埋められるゴミ
- ゴミ焼却場ででるダイオキシンなどのガス
色々なものを開発して、便利や安全や色々なことが発展してきたので、もう私たちが生活するもの全てなんじゃないかと思えてきましたね。その2って範囲が広いな。。
サステイナビリティの原点は、これを出してはいけないではなくて、蓄積してはいけないってこと。
実際、それぞれ蓄積して何が起こっているのかをみてみましょう。
水には何が起こってる?
水は、私たちの生活に必要不可欠ですよね。
断水なんて起きた時に本当にこの水道から水がでる有り難みを感じますよね。
デンマークでは、国全体で”水道水は飲める飲料水です”ということをアピールしています。
軟水、硬水の好き好みは置いといて。
日本の上下水道の普及率は、上水道は98%、下水道は77%です。(参考:厚生労働省:水道統計)。日本の水道水も、塩素は入っているものの、飲水可能です。
日本は山が多く、川も多数あり、温泉などもあり、水にはとても潤っている印象です。
その水は、自然の摂理で周りめぐっています。
水質汚濁問題(生活排水、工業排水)

日本では、昭和30年代に発生した水俣病以降、水質汚染に取り組み、水質汚染防止法改正を行ってきています。
その後、経済的発展とともに、新しい汚染が発見される度に、対処をしてきました。
健康項目については、公共用水域はほぼ全国的に環境基準を達成していますが、地下水は硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素などの一部の項目において基準の超過が見られます。
生活環境項目については、有機汚濁を示すBOD(生物化学的酸素要求量)・COD(化学的酸素要求量の環境基準達成は全体として徐々に改善の傾向にあります。ただし、湖沼、内湾、内海など閉鎖性水域では環境基準の達成率の改善は十分に進んでません。
引用:環境省水・大気環境局 水質汚濁対策 平成27年度作成
日本は、約25%が地下水から都市用水(生活用水と工業用水)を依存しています。
内海や内湾は汚濁物質が蓄積しやすいという特徴があり、平成27年度の段階では、東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海が基準を達成するのが困難な指定地域とされています。
COD,窒素、りん発生負荷量ともに、特に瀬戸内海は高く、次に東京湾、伊勢湾と続いています。
工業用水や生活排水から出される窒素、りんなどの栄養塩が多く、それが植物プランクトンのえさとなり、大量発生するのが赤潮(HAB:有害藻類ブルーム)です。
赤潮の発生により、海域中が酸素欠乏状態になり、その結果、海洋中の生物に影響を及ぼします。
また、HABには毒を生産する種もあり、それを捕食したカキやホタテに毒が蓄積し、それを食した人にも害を及ぼすため、注意深く、発生状況について監視しているそうです。
参考:環境省水・大気環境局 水質汚濁対策 平成27年度作成
国立環境研究所 赤潮
海洋汚染

太平洋ごみベルトをご存んじでしょうか。日本とアメリカの間の海流を大量のごみが漂っているという問題。研究の結果、今は、約46%が漁業系廃棄物、他は陸上から風に飛ばされたり、放棄されたりしたものと言われています。
2019年10月にTHE OCEAN CLEANUPが非電動式ゴミ回収装置で1mmのマイクロプラスチックゴミの回収も含むゴミの一部の回収に成功し、ニュースになりました。
海洋上のゴミが、ウミガメや鳥類などの生態系に影響を与えたり、クラゲに捕食されることで、食物連鎖の末端から、生態系に影響を与えていることは明らかになっています。
マイクロプラスチック問題は、どんどん大きくなってきています。プラスチック全てをただやめたらいいという単純なものではないのが、問題を複雑化させています。
プラスチックの方がサステイナビリティ観点で利点がある場合もあるからです。研究も沢山されていますが、はっきりこうしましょうという指針が各国で違うのが現状です。
参考:The Ocean Cleanup successfully catches plastic in the great pacific garbage patch.
土の中はどうなってる?
土も水と同様、私たちの生活に欠かせないものです。
私たちは、都会にすみ、コンクリートだらけの中にいても、土で育った食べ物を食べ、土を通った水を飲んだりしています。
土壌汚染

土壌汚染とは、
- 有害な物質が、使用している時にこぼれたり、有害な物質が含む排水がもれたりして中へ入る
- 有害な物質を含む廃棄物が不適切に土に埋められて、雨などによって有機物質が周りの土に溶け出す
- 排気ガスや飛火のなかに含まれる有害な物質が土の表面におちてくる
などがあります。
《土壌汚染の特徴》
- 大気中などより移動がしにくく、土の中に長くとどまりやすい
- 汚染されているのに気づきにくい
- 汚染は大気や水に比べ局所的
- 一度汚染されると、排出をやめても長期にわたって汚染つづくため、人の健康や生態系などへの影響が長期になる
- 揮発性有機化合物は、地下深くまで浸透しやすく、近く溶け出して、その流れて乗って汚染が広がるおそれがある。また、地層中の空気を汚染し、大気へ放出されるおそれもある。
- 重金属は、土の中では拡散せず、留まりやすい
日本の土壌汚染のはじまりは、明治10年頃からの足尾銅山の鉱毒事件が大きな社会問題となりました。銅山からの工業排水に含まれる銅が、農用地に流入・蓄積し、作物の生育に被害をもたらしたというものです。
それまで、農地土壌汚染の法律のみだったため、工業用地の汚染を取り締まるため、平成14年に土壌汚染対策法が制定され、平成21年には、土壌汚染調査の実施要件の拡大が含まれた改定が行われました。
平成24年度時点で、689件調査され、95件が基準値を超え、土壌汚染の摂取経路があり、健康被害が生ずるおそれがあるため汚染が必要な地域に指定されています。また、基準値は超過しているが、汚染除去の措置の不要な件数が838件でした。
上の数をみる限り、結構基準値超えてますよねっておもいました。基準値は超過しているけど、そのままでいいっていうのも気になります。
農地はどうコントロールしてるの?
農用地土壌汚染は農用地土壌防止法で都道府県知事が常時監視をしています。特定有害物質は、カドミウム、銅、砒素が定められています。これは自然界にある有害物質です。
砒素については、この投稿でも触れています。
農薬に関しては、環境省が農薬登録を決める際に、①作物残留、②土壌残留、③水産動植物の被害、④水質汚濁の4つの項目について基準を設定しています。
農薬による土壌汚染については、水道水水質調査項目で農薬類を確認しています。
農薬は時間をかけて分解されていく、一時的に生態系に影響を与えても戻っていくと書いている農業系サイトもありますが、実際に生態系の変化を発表されている方もいます。
私たちの気づかない間に、小さな生態系は変わっているのかもしれません。
農薬は、収穫量を確保するためにどうしても欠かせない農作物もあるでしょう。
ただ、実際、虫を殺虫するためのものですから、それを農地という広い範囲に撒いている、方法や希釈方法はラベルに記載されているものの、使用の実際については使用者の責任の上に行われているのが現実です。
今回文献で驚いたのが、上水道取水周囲で見られた農薬が、水道水でも同じ濃度でみられたということ。それは、塩素処理では農薬はそのまま流れているということ。
少なからず、食品より日々摂取しているであろう私たちですが、水の中に濃度が低いとしても、農薬があるかもと言われると気持ちがいいものではないですね。
参考:
(財)日本環境協会 土壌感染による環境リスクを理解するために
農林水産省 農薬の基礎知識
厚生労働省 水質基準項目と基準値
水環境学会誌(2016)神奈川県相模川流域における河川水及び水道水のネオニコチノイド系農薬等の実態調査
国立環境研究所 農薬汚染の水生生物に対する影響調査
まとめ
大気汚染に関することは、その1でまとめたので、その2は水、土に注目しました。
なんかこれで環境問題すべてなんじゃないかって思う位、内容が濃かったのにまだその3、その4があるんですね。。。
その2に対するアクションは、『サステイナブル生活』で書いていきます。
では、その3に続きます。