こんにちわ。
オーガニックの下りで、有機・オーガニックと認定されるには”遺伝子組み換えでない”という文言が入っていました。
さて、今回は、遺伝子組み換えとは一体なんなのか、身体にとって、環境にとって安全なのか、どうして”オーガニック”という概念からはみ出ているのかを勉強したいと思います。
今回は、かなり世論がふたつにVSであることを感じます。勉強しながら着地点を探します。
はじめに
日本では、遺伝子組み換え作物は栽培されていません。
しかし、年間海外から遺伝子組み換え食物を数千万トン輸入している輸入消費大国です。
1994年に初めて組み換えキモシンを利用したチーズが販売された時は、消費者に反応はなかったものの、ナタネ、大豆などに遺伝子組み換え食物が増えてくると、食の安全を求めた一般の声が高まり、2002年に食品に表示がされるようになりました。
遺伝子組み換え作物が始まり9年で、世界の栽培面積は50倍に増えたといいます。
アメリカからの遺伝子組み換え大豆の輸入は、2000年54%⇒2005年87%
アメリカからの遺伝子組み換えトウモロコシの輸入は、2000年25%⇒2005年52%
まで上がっています。
アメリカで栽培されている大豆と綿花の95%、トウモロコシの85%は遺伝子組み換え作物です。
2004年、人々の8割が遺伝子組み換えに意識があり、不安といっていた調査があります。
数字をみる限り、日本にも大量の遺伝子組み換え作物が食卓に並んでいる可能性が考えられますが、意識すべきものなのでしょうか。
遺伝子組み換え(GMOs)って何?

遺伝子組み換え食品(GMOs:genetically modified organisms)は、その名の通り、遺伝子の組み換えでできた食品になります。
農耕民族になってから、人類は、在来種の交配を続け、より多く収穫できる、虫に強いなどの品種改良をしていきました。類縁関係の食物同士を交配させて、色々な種類の食物を作ってきたのです。
ケールもキャベツも、ブロッコリーもキャベツスプラウトも、人々が時間をかけて、成功してきた苦労の結晶。
本当素晴らしい。
対して、遺伝子組み換え食品も、品種改良の方法のひとつ。
品種改良方法は、放射線照射からの突然変異によって生まれた品種やら他にもありますが、
遺伝子組み換え食品は、品種改良唯一、食品安全法上記載が義務つけられています。
遺伝子組み換え食品は、全く類縁関係でもない種類を掛けあわせることも可能で、特定の遺伝子を掛け合わすことによって、意図的に食品を操作して作りだすことができるという点で、自然界で発生しない現象を実現できるのです。
現在、遺伝子組み換え食品は、害虫抵抗性と除草剤耐性を考えて作られています。
遺伝子組み換え作物のメリットは何?
1953年DNAの構造が発見されて以来、人類は色々なDNA組み換えを研究し、まずインスリンなどの医療現場で使用されるようになりました。
1990年代になり、作物にも作られるようになり日本が輸入を頼っている米国では、9種類の遺伝子組み換え食品が栽培されています。
ダイズ、トウモロコシ(飼料用とスイートコーン)、パパイヤ、菜種、綿花、アルファルファ、テンサイ、バレイショ、そして夏カボチャです。
日本で、表示義務のある遺伝子組み換え作物は、
大豆、とうもろこし、ばれいしょ、アルファルファ、テンサイ、菜種、綿花、パパイヤ
の8作物です。
まずは、メリットからみていきましょう。
遺伝子組み換え食物のメリット
①交配による品種改良のような長い年月努力をしなくても、正確に、ピンポイントの特性をもった品種ができる
②除草剤耐性を使うことにより、特定の除草剤を使っても作物が悪くならず、他雑草だけ枯れる
③害虫抵抗性を使うことにより、品質を保持し、収穫率をあげることができる
④これからも人口増加が見込まれ、食の需要が高まるなか、森林を畑に変えずに収穫率をあげる方法である
⑤新しい研究による発見が、世界の飢餓に苦しむ子どもたちの生存率を上げる可能性を秘めている
2000年、スイスとドイツの生化学者から発表された《ゴールデンライス》は、ビタミンA欠乏症で苦しむアジアやアフリカ人達の解決策にならないかと、ビタミンAの前駆者ベーターカロテンを作り出すイネを開発しました。
まだ実用化には至っていません。
反対派に、試験中のイネを引き抜かれるなどの事件もあり、ノーベル賞受賞者達による”人道に対する罪”を警鐘する書簡が発表されるなどハプニングもあった。
⑥供給の安定からの価格の安定化や安価提供が可能になった
一体何が問題なのか?

メリットとともに、デメリットが必要です。
では、デメリットにいってみましょう。
遺伝子組み換え食物のデメリット
①除草剤耐性を使い続けることによって、”スーパー雑草”が登場。
これに対抗するために、より多くのグリフォサートと除草剤が使われるようになってしまっている。
除草剤耐性をもった遺伝子組み換えの先駆けは、1996年アメリカ、モンサント社が出した【ラウンドアップ レディ(Round up Ready)】。
これに使う除草剤【ラウンドアップ】に主に含まれるのが、アミノ系除草剤グリホサート。
このランドアップを撒いても、収穫したい大豆やイネはそのまま、耐性のない雑草だけ枯れるという構図。
がしかし、今やこのグリフォサートが上手く効かない状態になってきており、毎年25%除草剤の使用量が増えている場所もある。
②グリフォサートの発がん性がある可能性があるのか?
2018年、アメリカ、カルフォルニア州で、グリフォサートを使用していたことよる癌と認定された原告に約320億の支払いの判決がおりている。
発がん性に関する見解は統一しておらず、WHOは発がん性の可能性ありとし、米環境保護局は発がん性はないと認定し、意見が割れている。
日本では厚生労働省が2017年12月、グリホサートの残留基準値を大幅に緩和し、以降10種類以上のグリホサート除草剤を農薬として許可しているとのこと。
ちなみに、米でオレオ、ドリトス、ゴールドフィッシュなど、子どもにも大人にも口にしている人気お菓子から、人体に悪影響を与えうる量のグリフォサートが検出されている。
大量に検出された原因は、GMOに大量に使われた可能性があると指摘。
参考:NGO、米国内販売の人気食品からグリホサートが大量検出と発表
③スーパー雑草のみならず、”死なない害虫”誕生
除草剤耐性の次に多いのが、害虫抵抗性の遺伝子組み換え作物。
これは、”Bt”という毒素を含んでいて、コーンや綿花につく特有の害虫が食べると死ぬため、殺虫剤の使用が減るという仕組みで、1996年から2011年にかけて使用率は28%減少した。
が、しかし近年、このBt毒素に耐性がある虫が登場。
それを退治するため、結局殺虫剤を使用している。
参考:Genetically Modified Crops Have Led To Pesticide Increase, Study Finds
④在来種、在来昆虫がなくなってしまう可能性がある
それぞれ遺伝子組み換え作物も、花粉があり、蜂や風などにより運ばれる。
例えば、遺伝子組み換えの作物の種が輸送中などで地面に落ちることもあるかもしれない。
そこで、もし伝統野菜と交配してしまったら、在来種ではなくなってしまう。
何故なら、類似品種であれば、交配してしまう可能性があるからだ。
例えば、輸入遺伝子組み換え作物のナタネ。
日本の各地で在来腫とは違う遺伝子をもった菜種が見かけられるようになってきているという。
アブラナ科の菜種。大根、キャベツ、白菜、カリフラワー、ブロッコリーなど身近な野菜ばかり。
日本の伝統野菜をこのタイミングでみていただきたい。
海の食育:日本の伝統野菜海の食育:日本の伝統野菜
そして、新しく交配してできた害虫抵抗性のある作物を食べた昆虫が死んでいく可能性もある。
⑤農薬による害もろもろがなくならない
農薬による土壌汚染、自然交配に欠かせない蜂の減少(クロチアニジンによりコーン畑経由で死んでいることが研究で報告されている。参考記事)
これでメリット、デメリット出ました。
さあ、みなさんはどう思いますか?
はなか個人意見

私が思うに、メリット②、③は、もうメリットとは言えなくなってきていますよね。
遺伝子組み換えが開始して、25年経ったから分かった事実がデメリットの部分なのでしょう。
自然の適応能力って人類の想像を超えるという感じで、自然ってすごいな。
人類の健康被害に関わるのは両方ともにありましたね。いい面と悪い面。
遺伝子組み換え作物を食べたから、癌になったと認定されたわけではなく、農薬が原因かと言われている点と、それについても不確定だというが現状ですね。
で、そこからどう感じるかというと、やっぱり可能性があるものは避けたいという所かな。
ただ、人命を救うという研究などはもちろん、環境への長期経過観察も必要ということを考慮してのサポートがあってもいいのかなとも個人的には思います。
ただどんなものも、”新しいモノ”って、本当に安全なのか、それが生まれたことによってどう変わっていくのかは、時間が経ってみないとわからないものです。
昔、レーシック手術がはやり始めた頃、その時の上司が『まだ始まって間もない手術方法に自分の代わりのない眼はまだ預けられないな〜』と言った言葉を思い出します。
治験とか色々な人々の協力のもと、色々な新しいモノが生み出されているのは理解しつつも、必要性と天秤にかけた時、自分にとって今、本当にベストかっと考えてしまったと。
時を経て、より向上していくもの、弊害がみえてくるもの、それはわかりません。
自分は、本当にそれを選ぶべきなのか、選ばなくてもいいのかをその都度よく考えたいところです。
まとめ
オーガニックの記事の時に紹介したように、デンマークでオーガニックはかなり定着しています。
しかし、2019年4月、デンマーク倫理委員会は、遺伝子組み換え作物栽培について容認するよう発言を発表し、オーガニック組織からの批判がでました。
背景には、近年の異常気象、気温上昇などにおいて、対応できる作物が必要になってくるとの見方があると言われています。
確かに、今年のデンマークは暑さは例年より落ち着いているようですが、昨年は30度超えが多く、エアコンが基本ないこの国。病院でも大変なことになったとのこと。
日本でも、42度なんて昔じゃ考えられない気温になっています。
食物が耐えられず、収穫が減っても不思議じゃないですね。。。
消費者目線では、安定した供給はもちろん大事です。が、口にはいるものなので、安心がもっと大事。
私は、”遺伝子組み換えでない”と書かれた醤油を買っていこうと思います。
参考:“It is time for new position”Danish Ethics council calls for updated GMO law